ねじ自体が相手材にめねじを塑性成形することで、めねじ加工が施されていない下穴に直接締め付けができるねじです。
ナットやめねじ立てが不要で、またゆるんだ際にもスプリングバックによる抵抗が脱落を防ぎます。締結時に大きな抵抗がかかるため、主に電動・エアー工具使用で締結されます。
万能ビスやコーススレッドなどの木材専用の木ねじに比べ、木材・薄鋼板・アルミ合金板・樹脂板など薄い部材に幅広く使用できる利点があります。
主に鋼材などの金属同士の固定に使用されるドリルねじとの違い、下穴が必要になります。
タッピンねじについてはこちらのブログもご覧ください。

タッピング

タッピング

相手材の下穴に、ねじ自体がめねじを形成しながら締結(セルフタップ)するので、ナットやめねじ立てが不要です。ねじ切りと締結を同時に行い締結の抵抗が大きくなるため、電動・エアー工具使用に向いています。
ねじ先端の形状・ねじピッチは、相手材や厚みに合わせて A・B・C・ABタイプまたは1~4種に分類されています。
頭部形状やリセス形状も様々で、相手材、使用場所や目的に応じて選択可能です。

各種タッピング

薄鋼板用ノンスリップタッピング - 「THINCA(シンカ)」

薄鋼板用ノンスリップタッピング - 「THINCA(シンカ)」

厚さ0.3 mm~0.8 mm程度の薄鋼板接合用のタッピンねじです。タップ加工(めねじ加工)やナットなしで薄鋼板の下穴(パンチ穴)にセルフタッピングしてねじ締結でき、空転やゆるみが課題となる厚さ0.3 mmの薄鋼板でも強力に締結するので、加工工程・作業時間を短縮しコストを削減します。
先端部に45°のテーパーのガイド分を設けているので下穴への挿入が容易です。また、山角50°のねじ山が相手材をしっかり保持する広い谷部を確保します。また先端部分を二条ねじとすることで軸アライメントが向上し垂直に安定してねじ込め、リードが大きく作業時間を従来の2分の1に短縮します。首下四条ねじ部は薄板と螺旋ねじ山が4点で接触し高い破断(空転)トルクと戻しトルクが得られ、ねじの空転を防ぎ高いゆるみ止め効果を発揮します。トルク設定がしやすい為、ねじ締めの自動化の際の薄板部品の損傷を防ぎ歩留まりを向上させます。自動車・家電・産業機械・医療機器・建築分野で薄型化や軽量化に寄与します。
シンカは(株)ヤマシナの登録商標です。

BRPタッピング

BRPタッピング

ガイドビスなどとも呼ばれるサッシ枠の組み立て等に使われる2種タッピングねじです。先端にネジ山の無いガイドがねじの先端に付いているので、見づらい下穴への挿入が容易になる位置決めガイド役付きのねじです。
下穴に自らめねじを加工するので、ナットやタップ立てが不要で、工程を減らし締結コストを削減します。2種タッピングねじは3種あるタッピングネジの内の中間のピッチを持ち、ねじ込みの作業性に優れるため様々な箇所での締結に利用されています。
様々な頭部形状から用途に応じて選択可能です。

タップタイト

タップタイト

ねじ胴部の断面を三角形(おにぎり形状)にしたタッピングねじで、相手材を塑性変形させ下穴へめねじを自ら形成しながら締結します。
利便性の高いタッピングねじの「ねじ込み時の抵抗が大きく作業者への負荷が大きい」「締め付けトルク損失が大きく軸力が小さくなる」という課題を解決しました。
三角形断面の角部で相手材を押し広げることでねじ面との接触面積を減らし、ねじ込み時の摩擦抵抗を低減して作業性の向上と軸力アップを両立し、締結後はめねじ材の収縮が回転を防ぐことで高いゆるみ止め効果を発揮します。
従来のタッピングねじと同じように、相手材に合わせて様々なタイプ、頭部形状を選択できます。
作業効率がさらに上がる2条ねじ、メートル小ねじと互換性のある金属用、ナットと組み合わせ可能な製品もあります。

タップタイトセムス

座金があらかじめ組み込まれたセムスと呼ばれるタップタイトです。組立時に座金をセットする手間が不要なので作業効率が向上し、座金が脱落する心配も無いので、メンテナンス作業等も容易になります。
タップタイトとはねじの胴部分が三角形(おにぎり形状)になったタッピングねじで、下穴にねじ込むだけで締結できます。胴部分が三角形状のため、通常のタッピングねじに比べてねじ込み抵抗が少ない、相手材のスプリングバックによりゆるみにくい、といったメリットがあります。
タップタイトセムス製品は、タップタイトのタイプ(S・B・P等)とセムスの組み合わせ(P・I等の英文字と1∼4の数字)の両方で識別します。

タップタイトセムス

ラミクス®・ラミメイト®

ラミクス・ラミメイト

頭部の高さを極限まで低くし、締付面が極力平面になるようにしたタップタイトで、ラミクスは精密0番十字穴、ラミメイトはJIS十字穴対応です。通常の小ねじに比べほとんど出っ張りがないにもかかわらず、皿頭のように事前にザグリ加工する必要もないので、工数削減にも有効です。
胴部分が三角形状になっている為、通常のタッピングねじに比べてねじ込み抵抗が少ない、めねじ材が収縮する事によりゆるみにくい、といったメリットがあります。鉄板、樹脂部材どちらでも使用可能で、ねじの共通化を図ることができ経済的です。
薄板やプラスチック材に適したBタイプ、可塑性樹脂専用で、ワレ・カケを防ぎながら非常にスピーディーに締結出来る粗いピッチの2条ねじのPタイプ、薄い素材にもしっかり締結可能で、精密機器の小型化・軽量化に寄与する2条ねじのPSタイプなど、用途に応じて様々なものを選択できます。
ラミクス®・ラミメイト®は日東精工の登録商標です。

建築・木工用

木材・板材・軽天材・建具・内装材の締結のため、それぞれの性質や目的に応じたタッピングネジが多数あります。釘と異なり逆回転させることで部材を傷つけずきれいに引き抜くことが出来る利点があります。
ピッチが広く高く鋭いねじ山を持ったコーススレッドは主に木材同士の接合に使用します。軟質木材へは下穴なしで使用でき、硬質木材や材料の端や合板の小口へは下穴を開けることで材料の割れ・欠けを防ぎます。
補強には時間経過で木材が痩せてもガタツキが生じない全ねじ、組立には部材同士の隙間が生じない半ねじ等を使い分けます。
鋼板や硬質ボード、木材を構造用鋼板に固定するドリルねじは、下穴あけ、タップ立て、締め付けをねじ一本で行うことが可能です。
軽鉄用ビス、ドライウォールスクリューやワンタッチビスなどとも呼ばれる軽天ビスは、軽天材の下地に下穴なしで取り付けることが出来る内装工事用のビスです。先端は鋭く突き刺さりやすい形状で、ねじ山が薄い軽天材にも2か所で噛み合う二条ねじとなっているので垂直性や直進性が高く、リードが大きいため作業性に大変優れています。
下穴をあけて使用する木ねじ、日本の繊細な木材建築に合わせた内装造作ねじ、内装・建具に適した建具ねじなど、用途に合わせて選択することで美しい仕上がりを得られます。
安全性を担保するため、指定された基準に沿った製品、サイズを選択する必要があります。

建築・木工用