座金があらかじめ組み込まれ一体となったねじでセムスとも呼ばれます。専用の組込み機でワッシャーを組み込んだ後ねじを転造するため、座金がネジから外れなくなります。
一つの部品として取り扱えるので座金組み込みの手間と時間が省け、組み忘れ、座金を落としてしまう煩わしさもなくなり、作業効率が向上します。
組み合わせも、平座金(旧JIS)だけ組込まれたもの(P=1)、ばね座金のみ(P=2)、平座金とばね座金(P=3、P=4) から目的により選択可能です。キャップセムス・トリーマ―セムス・アプセットセムス・ナベセムスなど、頭部形状もバリエーション豊かです。
「セムス」という呼称は1930年代に座金組込ねじを開発、特許を取得したITW(イリノイツールワーク)社の登録商標から来ているようです。英語“pre-asSEMbled washers and screws(あらかじめ組み立てられたワッシャーとねじ)” に現れる文字列“SEM” に一般に箱入で買われるので複数形“S” をつけ“SEMS” と名付けました。
キャップセムス
セムスと呼ばれる座金が組み込まれた六角穴付ボルトです。座金組込キャップとも呼ばれます。座金がボルトから外れないため、組み忘れ・間違い・紛失を防ぎ、組み込みの手間を軽減することができ、作業効率が向上します。
セムスには、ばね座金組込のP=2、ばね座金と平座金組込(旧JIS規格)のP=3、ばね座金と平座金(JIS小型)組込のP=4などがあります。他にも、ISO規格座金が組込まれているI型、JIS小型座金が組み込まれているPK型があり用途に合わせて選択できます。
トリマーセムス
六角ボルトにあらかじめ座金を組み込んだボルトで、座金組込六角ボルトとも呼ばれます。
六角形の頭をトリミング成型後(トリーマ)、座金(ワッシャー)を組み込み、最後に転造によってねじ山を成型します。転造後はねじの山径の方がワッシャーの内径より大きくなり外れなくなります。通常のワッシャー同様、座面陥没防止やゆるみ止めの効果があります。座金組込の手間を省き、組込忘れや座金脱落の煩わしさを解消。作業能率を上げ、時間と労力を節約できます。座金の種類や規格、組み合わせも豊富で、自動車・機械への使用をはじめ、従来のボルトとワッシャーの組み合わせからの変更部品としても人気です。
六角アプセットセムス
六角アプセットボルトにゆるみ止め・陥没防止の平座金(JIS規格)を組み込んだねじです。あらかじめねじの製造過程で座金は組み込まれているため、現場での組み込み忘れや脱落防止、組込みの手間がないので作業時間の短縮に貢献します。
六角アプセットボルトの頭部は上面が少し凹んだ丸みのある六角柱で中央には十字溝があります。そのためボックスレンチ、スパナ、+ドライバー等、様々な工具で締め付け出来、複数の人が扱う場所や頻繁に付け外しが必要な個所でとても便利です。また比較的柔らかい印象の外観なので装飾目的に使用されることもあります。
なべセムス
一般的なねじ締結に最もよく使われるなべ小ねじにあらかじめ座金が組み込まれたねじです。座金を組込む手間や組み込み忘れの防止に役立ち、脱落の心配が無いので作業の効率化に有効です。
平座金(JIS規格)が組込まれたP=1、ばね座金組込のP=2、ばね座金と平座金組込(旧JIS規格)のP=3、ばね座金と平座金(JIS小型)組込のP=4などがあります。他にも、平座金(ISO規格)とばね座金が組込まれているI=3、なべ小ねじにロックワッシャー、スターワッシャー、菊座金とも呼ばれるゆるみ止めの外歯付座金を組み込んだLO-2、リセス部分がプラスマイナス(±)形状のものもあり、用途に合わせて選択できます。
これまで小ねじとワッシャーを使用していた箇所へのねじ交換や補修にも人気です。
タップタイトセムス
座金があらかじめ組み込まれたセムスと呼ばれるタップタイトです。組立時に座金をセットする手間が不要なので作業効率が向上し、座金が脱落する心配も無いので、メンテナンス作業等も容易になります。
タップタイトとはねじの胴部分が三角形(おにぎり形状)になったタッピングねじで、下穴にねじ込むだけで締結できます。胴部分が三角形状のため、通常のタッピングねじに比べてねじ込み抵抗が少ない、相手材のスプリングバックによりゆるみにくい、といったメリットがあります。ナットを必要としないなため、裏側に作業スペースがない場所にも施工可能です。
タップタイトセムス製品は、タップタイトのタイプ(S・B・P等)とセムスの組み合わせ(P・I等の英文字と1∼4の数字)の両方で識別します。