|

在庫管理に必要な会計の基本-負債編

皆様いかがお過ごしでしょうか。ボサードの平本です。
今回も、在庫管理に必要な会計の基本について書かせていただきます。

前回は資産についてお話をしました。 (お知りになりたい方はこちらをご覧ください。)
今回は貸借対照表のうちの、資産の対になるもの、負債についてお話させていただきます。

負債とは

早速、本題に触れていきましょう。
負債とは、借入金や未払いのお金など将来返済する必要のあるものです。
返済が必要なので、将来的に資産が減少する原因となります。

負債も資産と同様、時間が関係します。
1年を超える長期は固定負債、1年以内に完済する負債は流動負債です。
ちなみに、この1年の基準をワンイヤー・ルールと言います。

少し細かく見てみましょう。
固定負債には、長期借入金、社債、退職給付引当金などが含まれます。
流動負債には、短期借入金、支払手形、買掛金、未払金などが含まれます。
言葉が難しいので、それぞれ少し解説してみたいと思います。

長期・短期借入金文字通り、借りるお金を指します。
例えば、金融機関や親会社から借りたりする借入金が一般的です。日々必要なお金はもちろん、大きな投資をする際は、当然大きなお金が必要になります。
全て自社のお金で賄えるという会社には不要ですが、ほとんどの会社が金融機関からお金を借り企業活動を運営しているのではないでしょうか。
社債お金を投資家から借りたときに発行される借用書のようなものです。
期限が来たら返済しなければなりません。また毎年決められた利率で利子を支払う必要があります。
退職給付引当金退職給付は、退職金(退職一時金)や年金のことです。
将来の退職金支給に備えて引当金を計上する必要があり、これを「退職給付引当金」と言います。退職金制度を導入している会社が計上しなければならない引当金の一種です。
支払手形支払う側の立場から見た手形のことです。
代金を後の支払期日に支払うことを約束するために作成される書類のことです。
買掛金取引先からの商品や原材料の仕入など、仕入先との間の通常取引にもとづいて発生した営業上の未払いのものを指します。
未払金主たる事業以外で未払いのものを指します。
例えば製造業であれば、インターネットの通信費など未払いのものは未払金に該当します。

少しイメージ出来たでしょうか。
言葉自体は難しいですが、負債にも様々な項目があり、時間軸によってきちんと仕分けを行う必要があるとご理解いただければと思います。

負債は必要?

負債というと、マイナスのイメージを持ってしまいがちです。
しかし、自社のお金だけでは賄えきれない。そんなシチュエーションは多くあります。

たとえば、運転資金です。
運転資金とは、企業が事業を続けていくために必要な従業員の給与、商品代、広告などさまざまな費用を指します。売上の有無や、多い少ないに関係なく、支払わなければなりません。

運転資金が足りなければ、従業員や取引先への支払ができない、
店舗や工場の家賃や光熱費を支払えないなど、必要な資金がないため事業継続が困難になります。
企業を運営する上で運転資金は必要なものです。

詳しく見てみましょう。

企業間の取引は通常、信頼関係をベースに継続的に行うという前提になっています。
その前提に基づき、売掛金と買掛金というものがあります。

後日まとめて代金を支払ってもらう約束をし、取引の効率化を図ったのが売掛金です。
買掛金は売掛金の反対で、自社が仕入先に将来的に支払わなければいけないお金のことです。

たとえば製造業で、
材料を仕入れ、商品を作り、販売して収入を得るというサイクルだったとしましょう。
通常、材料の仕入れから売上までには一定の期間がかかります。
お金の動きを見ると、材料の仕入れ代金などの支払いが先になり、販売代金などの受け取りは後になるということになります。

さらに、具体例から考えてみましょう。

商品を作り始めてから、売れるまでの期間が20日かかったとします。
そしてお客様との支払条件が、購入後50日後の支払いだったとします。
そうすると、商品を作ってから70日(20日+50日)もお金が入らないことになります。

自社が支払う側を考えるとどうでしょうか。

仕入先との支払条件の支払期日が、購入後30日後だとすると、
30日後に支払った後、お客様から入金されるまでには40日の空白が生まれます。
この空白時に、資金が尽きることなく会社を保つためには、補填するお金が必要になります。
これも運転資金です。


必要な運転資金を確保するには銀行からお金を借りることが最も一般的です。
負債の部における借入金は、企業の運転資金のための借入というのが必然でしょう。

また、借入を行っていても、
「たくさん購入した方が安いから」や「在庫不足が心配だから」と言って在庫を抱えすぎると、
現金がなくなり、運転資金を支払えないという状況に陥ります。
やはり負債も、いつ使うか、どのように使うか、時間バランスが大事です。

さらに売上獲得のためには、銀行からお金を借りて、新たな投資を行うことも一つの方法です。

もちろんリスクはゼロではありませんが、
その投資が事業を成長させ未来を創るということは十分にあります。リスクもありますが、借金は悪いと決めつけるのではなくより広い視野を持って考えたいものです。

このように、資産と負債を理解することで、貸借対照表という経営に大切な財務諸表を読み解くことができます。

今日は負債について掘り下げてみました。
一つひとつ奥が深いですが、会計はビジネスの世界においては共通言語です。
理解できればさらに広い視野へと繋がり、より良い仕事に繋がるのではないでしょうか。

今回はここまでにしたいと思います。少しでも皆さんにとってプラスになれば嬉しいです。
次回もお楽しみに。それでは皆さん、ごきげんよう!

関連記事