社内物流の「ラストマイル」をマネジメントする重要性
物流における大きなチャレンジの一つは、どのようにして“最後の1マイル”における課題を解決し、サスティナブルで満足できるサービスをユーザーへ届けるかです。
「ラストマイル」って?
『ラストマイル』や『ラストワンマイル』、日本語にすると“最後の1マイル”と聞いて皆さんは何をご想像なさいますか。マラソンのラストスパート?インディー500の最後の1周?
ここで取り上げたい『ラストマイル』『ラストワンマイル』は業界用語です。元々は通信の世界で使われ始めた “Last Mile”を翻字した表現で、最寄りの基地局から家庭を結ぶ最後の区間を指す言葉でした。現在では通信や物流、交通等の分野でもサービス提供者と顧客をつなぐ最後の区間を指す用語として『ラストマイル』『ラストワンマイル』は定着しています。そしてこの“最後の1マイル”は様々な業界のホットな話題となっています。
どのようにして“最後の1マイル”における課題を解決し、サスティナブルで満足できるサービスをユーザーへ繋げるかは大きなチャレンジです。例えば交通。大都会の都心部なら今でも公共交通機関が発展して door-to-door で自由に移動できると感じます。でも、高齢者や障害のある方たちにとってはどうでしょうか?最近私たち夫婦は、大阪のベットタウンに住む高齢の両親とこの課題に取り組んでいます。ましてや過疎化の進んでいる地域で、交通弱者と言われる方たちの移動の自由を確保するためにはどんな手段を提供できるでしょうか。“最後の1マイル” における交通業界や行政の皆さんの取り組みに期待しています。
物流業界で『ラストマイル』は、最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスを指します。この説明で皆さんの念頭には、玄関先へ商品を届けてくれる宅配サービスが真っ先に思い浮かんだのではないでしょうか。そしてこの『ラストマイル』、とても多くの解決すべき重要な課題を抱えていることも皆さんご存知でしょう。業界を挙げて仕分け・梱包出荷作業の自動化、宅配ボックスの設置、コンビニ受け取り、自立型のドローンや自走ロボットによる配達に至るまで、様々な手法によって難題に立ち向かっています。宅配が人にも地球にも優しいサービスとして何時までも身近な存在でいてくれることを願うばかりです。
生産現場の「ラストマイル」
生産の現場の物流管理(ロジスティクスマネジメント)においても『ラストマイル』、最後の1マイルは当然無視できない重要な部分です。ロジスティクスマネジメントの成否は企業の成功や収益性を左右するインパクトのある課題だからです。
外部物流
生産現場での『物流』と聞いてまず思い浮かぶのは、生産から市場までの材料や最終製品の流通、つまり生産現場 (工場)の外のモノの流れである『外部物流』でしょう。例えば材料や資材・パーツの納入業者がユーザーであるメーカーの工場へ納品する場面を考えてみましょう。ここでの物流の効率化の手法として『ミルクラン(巡回集荷)』が注目されています。
“ミルク ラン(巡回集荷)”
巡回集荷と日本語に翻訳される英語“ミルクラン(milk run)”は牛乳メーカーが酪農家のもとを巡回し原料となる生乳を集荷していたことに由来する物流コンセプトです。
従来、複数の商品を仕入れる場合にはパーツ・資材を納品する業者が、各々に車両を仕立ててユーザーの物流センターへ納入するのが一般的でした。しかし “巡回集荷(ミルクラン)”では発注者側(ユーザー側)が車両を用意し、1台の車両が複数のパーツ・資材の納品者(社)のもとを巡回して、製品や原材料を集荷し工場へ自ら搬入します。こうすることで多品種少量の原材料・パーツ類を効率よく集荷・荷受け・管理する事が出来、輸送コストの削減や配送の効率化を図れます。この手法は多品種少量生産が求められる時代の物流の効率化とサスティナブルな企業活動に寄与すると注目されています。またボサードのスマートファクトリーロジスティクス(SFL)のような、物流の専門商社とタッグを組んでパーツ・資材の発注・納入・保管・管理を一元化する VMI(ベンダー管理在庫)導入することも非常に有効です。
社内物流
この『外部物流』に対して、生産現場内の物流、『社内物流』があります。これは内部ロジスティクス、つまり生産工場内の作業セルに資材・パーツ・仕掛品を補充・供給するための限定された場における物流です。ボサードでは特に、資材・パーツ・仕掛品を工場内の集積所あるいは前工程から組立作業者の手元に届けることを指して、“ 社内物流の『ラストマイル』”と呼んでいます。
サプライチェーン全体がかかわる (それ故に多くの業者間の調整が求められ時間と費用が必要とされる)外部物流の改革とは異なり、自社内で完結できる“社内物流の『ラストマイル』”の改善は、取り組みやすく、スピーディーに高い効果を出せる分野と言えます。
この『社内物流』、端的に言えば「どのように社内で商品や資材を保管し、流通させ、管理するか」という課題であり、“ 説明責任・トレーサビリティ・見える化 ”が重要なターゲットとなります。
特に効率的な生産工程を維持するために巡回集荷、通称 “水すまし” を活用した『ラストマイル』の成功は、材料・パーツの補充が重要な鍵となります。
“ 水すまし ”
“ 水すまし ”は倉庫などの置き場から部材などを組立作業者に供給(部品配膳)したり、完成品を回収したりするスタッフやその作業自体のことを指します。
資材集積場所にて必要な種類の部品を集め、組み立てセルや作業者の隙間を縫って集めた部品や仕掛品を運搬するその姿が、水面を自在に動き回る“水すまし”に似ているのでこの名で呼ばれています。
ボサードの「ラストマイルマネジメント(LMM)」は、内部ロジスティクスに無駄のないソリューションを提供し、効果的な『ラストマイル』の管理のための鍵と成り得ます。
ボサードが実現するラストマイルの最適化
ボサードのLMM( ラストマイルマネジメント )は、システムを用いた発注により、ペーパーレス化を促進するだけでなく、最適なタイミングでの補充を実現し、生産ライン停止のリスクを減らします。さらに、手配状況を手元で確認できるモバイルアプリ、ピッキングや補充段階での不要な動きを減らすプランニングまで、社内物流を最適化するための有益な機能が多数組み込まれています。
例えば、生産ラインから直接、自動在庫管理システム スマートビンクラウド(SmartBin Cloud) を通して補充のオーダーをすることが可能です。オーダーされた部品は、デジタルピッキングリストに追加されていきます。このリストはそれぞれの“スーパーマーケット(資材集積場所)”に合わせ、最も効率よく、スムーズにピッキングできるように並べられます。
そしてボサードの ARIMS管理システム を使用し、LMM は作業セルでの需要要求を自動化し、デジタルピッキングリストから “スーパーマーケット” で部品を効率的にピッキングすることを可能にします。
最適化されたルートプランにより、“水すまし” はより短く、より時間のかからない経路で、効果的かつ確実にワークセルに補充することができます。“水すまし” は、箱を設置した台車とともに “スーパーマーケット” に向かい、作成されたピッキングリストをアプリで開きます。必要な部品の場所とその部材を台車のどの箱に入れるかが表示されますので、その指示に従いピッキングします。
ピッキング後、専用アプリに表示される補充リストの指示に沿って各生産ラインに補充を行います。LMM は部品の使用場所や台車の積む場所をふまえて、無駄のない補充ルートを提案します。
その結果、高い信頼性、マテリアルフローの最適化、社内物流における動きの合理化を実現します。こうして “水すまし” スタッフは作業上のムリ・ムダ・ムラから解放されるので、仕事への満足感を高め働く意欲を高く保つことができます。また生産管理者にとっては、発注から納品までの時間が短縮され効率性の向上を達成できます。
このラストマイルマネジメント(LMM)は、社内物流のどんなシナリオに対しても最適なソリューションを提供します。
人にも地球にも優しい社内物流の『ラストマイル』の改革、私たちボサードと一緒に取り組みませんか?