小さな部品を締結するために使用するねじの総称で最も一般的なねじです。ナットまたは相手材に刻んだめねじにねじ込み締結します。
材質・ねじ山規格・頭部形状・ドライブも選択肢が豊富で、母材の材質・厚み・ザグリ加工のあるなし・用途に応じて様々な中から選択できます。超低頭やワッシャー付き・特殊用途・2つ以上の工具で締結可能など、様々な問題を解決するアイデアねじも開発されています。

なべ小ねじ

なべ小ねじ

材質や表面処理が多様であらゆる用途に対応出来るため、小ねじ類の中で最も多く使われています。名称は頭部形状にちなみ、なべビス、パン(PAN)ヘッドとも呼ばれます。ナットまたは相手材に刻んだめねじにねじ込み締結します。締め付け後に頭部が露出しますが、ザグリ加工ができない薄い板状の物も締結できます。ワッシャー付き・マイナスねじ頭・脱落防止機能付き・左ねじ・いたずら防止機能付きやシール付きなど、目的や用途に応じた製品があります。
頭部の露出を避けるにはラミメイト小ねじ(超低頭タイプ) や、皿小ねじ(要ザグリ加工)をご利用ください。

皿小ねじ

皿を横から見たような形状である事からこの名称がつきました。“FLAT HEAD”や“countersunk head” と表記される事もあります。頭部が平らになっている為、相手材に対して同じ高さまで頭部を埋め込む事ができ、サッシ・扉などをはじめ、でっぱりをなくしたい部分に使用されます。十字穴に加え、マイナス穴・いたずら防止機能付きなど用途に合わせて選択可能です。
頭部の裏側が斜めになっているので、使用の際はザグリ加工が必要になります。(皿部分は一般のメートルねじでは90°テーパーなのに対して、ユニファイ(UNC / UNF)では約80°テーパーと異なります)。ユニファイ規格は、海外製の電化製品や自動車・バイク・家具などに使用されています。
長さは他の小ねじ類と異なり頭部を含めた“全長”がサイズとなります。

皿小ねじ

トラス小ねじ

トラス小ねじ

球体の一部を切り取った丸い凸型頭部が特徴です。トラスねじ・トラスビス・十字穴付きトラス小ねじ・truss head screwの名称があります。
同じ呼び径で比較すると、なべ小ねじより頭部は低く、頭部径は大きくなり締結後ねじ頭部は表面に露出します。広い着座面積が接触面圧力を下げ締結時の座面陥没や塑性変形を防ぐため、材木など柔らかい素材の締結に有効です。また高トルクで締結し軸力を高めることが出来、振動・衝撃によるゆるみの防止効果を期待できます。大きめの取付穴や長穴にも座金なしでの使用もできます。脱落防止機能付きのものもあります。
引っ掛かりによる事故を軽減することができる点で安全性が高く、福祉機器にも使用されます。また意匠性も高いため、建築部品・家具などに多く使用されています。

バインド小ねじ

バインド小ねじは頭部が台形状で上部に丸みがある小ねじです。なべ頭より頭部が低く、トラス頭より頭部径が小さいのが特徴です。
母材の締結面の陥没を防ぐためなべ小ねじの代わりに使用したり、母材の取付穴を隠すのにも便利です。また、トラスねじを使用したいが頭頚部を小さくしたい時などにも有効です。コンセントプラグの内側やコンピューター関連機器にも使用されます。見た目がすっきりしているので、装飾用にも用いられます。
つけ外しのしやすいプラスマイナス(±)穴付きや、漏れを防ぐシール付き製品など、作業効率アップに役立つ製品もあります。

バインド小ねじ

六角アプセットボルト

六角アプセットボルト

頭部が主に六角形状をしており、頭頂部に少しくぼみがあるねじです。アプセットボルトやアプセット小ねじなどと呼ばれます。
十字穴やプラスマイナス(±)の穴が開いているのでスパナ・ボックスレンチ・ドライバー等様々な工具で締め付けが可能です。そのため、取り外し頻度の高い場所や複数人物が付け外しをする場所にも使用されます。六角ボルトより柔らかい印象を与えるので、人目に付きやすい場所にも使用されています。
座金組込み(セムス)タイプは作業効率アップに役立ちます。

丸皿小ねじ

頭部上面は穏やかに丸みを帯びて凸型をしており、座面は皿小ねじ同様円錐形(90°テーパー)のねじです。使用にはザグリ加工(「皿もみ」とも呼ばれる)が必要です。ドアやサッシ、手すり、コンセントプレートなど、目に留まったり、手や物が触れたりする箇所で利用されています。十字穴付き丸皿小ねじ・丸サラ小ねじ・丸サラ・オーバルヘッドねじなどの名称があります。
丸皿小ねじの滑らかな丸みを帯びた頭部は、引っ掛かりを防ぎ物や人に優しく安全です。また優しい印象を与える外観からデザイン的な要素で選ばれることもあります。頭部がより低く、小さいサッシ用もあります。ローゼットワッシャーとの組み合わせは、ザグリ加工の必要が無く外観も美しく仕上がるので、化粧ネジとして利用されています。

丸皿小ねじ

丸小ねじ

丸小ねじ

一般的ななべ頭と比較して頭部は丸く厚みが増し、半球に近い形になります。リセスはプラス(+)と、マイナス(ー)ドライバーで廻す「すり割り」タイプがあります。
「すり割り」にはリセスに水や汚れがたまりにくく清掃しやすい、カムアウトしにくくリセスをなめにくい等の利点があります。そのため水回りや屋外のような厳しい環境の場所へ、またコイン等でも廻せるので頻繁につけ外しをするカバーの取り付けねじ等に利用されます。
旧車やバイク、アンティーク家具等でも使われるため、メートルねじに加え、ウィット・ユニファイ規格の製品もあります。すり割り付きの締結用ねじの歴史は古く、15世紀半ばには広く使われていました。当時リセスは弓ノコを使って刻み込まれる等すべて手作りで、精度は高くなく高価でした。18世紀に製造の機械化、量産化が進み、19世紀にウィットウォースにより規格化(ウィットねじ)が進んで産業革命に貢献しました。プラス溝(十字穴)が普及したのは20世紀になってからです。

平小ねじ

頭頂部が平らになっています。頭部の出っ張りを最小限に抑えたいような場所へ使用されます。マイナスドライバーの使用が可能です。
アンティーク家具や装飾性の求められる場所にも最適です。また、マイナスねじは清掃が簡単なため、清潔さが求められる食品や製薬業界でも使用されます。

平小ねじ

六角アプセットセムス

六角アプセットセムス

六角アプセットボルトにゆるみ止め・陥没防止の平座金(JIS規格)を組み込んだねじです。ねじの製造過程であらかじめ座金が組み込まれているため、現場での組み込み忘れや脱落防止、組込みの手間がなく作業時間の短縮に貢献します。
頭部は上面が少し凹んだ丸みのある六角柱で中央には十字溝があります。そのためボックスレンチ、スパナ、+ドライバー等、様々な工具で締め付けでき、複数の人が扱う場所や頻繁に付け外しが必要な箇所に適しています。また、比較的柔らかい印象の外観なので装飾目的に使用されることもあります。
1930年代にアメリカで開発され日本に入って来たこのねじは、ねじとばね座金の2つの部品(2ピース Piece)でできたセムスを[P=2]、ねじとSW、平座金の3ピースの物は[P=3]と呼ばれるようになりました。その後、平座金だけを[P=1]、座金がISO規格のときは[P]ではなく[I]を用いる、などアルファベットと数字の組み合わせで呼び分ける事が習慣化しました。用途により組み合わせを選択できる便利な製品です。

なべセムス

一般的なねじ締結に最もよく使われるなべ小ねじに、平座金(JIS規格)が組込まれています。座金を組込む手間や組み込み忘れの防止に役立ち、脱落の心配が無いので作業の効率化に有効です。
「セムス」の呼び名は、1930年代にイリノイツールワーク社が開発し特許を取得した座金組み込みねじの登録商標から来ています。
なべセムスには他にも、ばね座金組込のP=2、ばね座金と平座金組込(旧JIS規格)のP=3、ばね座金と平座金(JIS小型)組込のP=4などがあります。他にも、平座金(ISO規格)とばね座金が組込まれているI=3、なべ小ねじにロックワッシャー、スターワッシャー、菊座金とも呼ばれるゆるみ止めの外歯付座金を組み込んだLO-2、リセス部分が±(プラスマイナス)形状のものもあり、用途に合わせて選択できます。
これまで小ねじとワッシャーを使用していた箇所へのねじ交換や補修にも人気です。

なべセムス

止めねじ

止めねじ

先端にプラスやマイナス溝の入ったねじで、イモネジや虫ネジなど呼ばれ方は様々です。頭部はねじ部と同じ大きさです。ねじ先は平先ととがり先があり、ねじ先端を相手部材に押し付けてドライバーで締め付けを行います。 
六角穴付止めねじ“ホーロー(セット)”と形状が似ていますが、この呼び名は六角穴に対してのみ使われる為、当製品に対しては使用しません。
シャフトの位置固定などに使用し、細かい位置決めや変更が可能です。頭部でっぱりがないため、額縁やサッシなどの微調整ねじとしても使用されています。

溶接小ねじ

鉄板へおねじを作る等の目的に使用します。溶接ボルトやウエルド(ウェルド)ボルト(英weld bolt)とも呼ばれます。鉄板等の穴へボルトを通し、頭部裏にある突起部を溶接(プロジェクション溶接)しておねじを成形します。自動車・電化製品・建設等で、通常のボルトとナットの仕様では締結が難しい場合に用いられます。
プロジェクション溶接は抵抗溶接の一種です。被溶接材の形状を利用して電流を集中させて抵抗熱(ジュール熱)を発生させ、加熱すると同時に加圧接合をします。この為に溶接小ねじの座面には溶接用の突起部(プロジェクション)が設けられています。突起が中空でないのでソリッドタイプと呼ばれます。極短時間で発熱し突起部に熱が集中するので、ワークに対するダメージを最小にし、ゆがみを抑制しながら安定した溶接が出来ます。さらにプロジェクション溶接には、溶接時間が極短く加工コストが低い、複数の部品を一度に溶接可能で位置精度を得やすい、溶接棒やフラックスは不要なので有害な紫外線やヒュームが出ない、などのメリットが有ります。

溶接小ねじ

ローレットねじ

ローレットねじ

ローレットビスとも呼ばれます。円筒形の頭部外周側面にギザギザの滑り止め(縦目ローレット加工)が施された、手で締め付けたりゆるめたりする事のできる手締めねじ(つまみねじ)です。手だけで回すため締めすぎる心配がありません。工具が必要ないので頻繁に回す調整ねじやPC・制御盤・工作機械等のカバーの取り付け、軸部の回り止め、家具などのデザイン的な要素が求められる箇所などに便利です。
意匠性の高い金属性をはじめ、マイナスドライバーで取り外し可能なすり割り付きや、ポリカーボネイト製もあり、用途に合わせて選択可能です。

各種小ねじ

十字またはプラスマイナス穴付き六角頭と座金が一体となったフランジ付き小ねじです。フランジ付きのため、相手材の陥落防止やゆるみ止め効果を発揮します。通常のドライバーに加え、ボックスレンチ・スパナ・モンキードライバーなど様々な工具で取り付け可能なため、強く締め付ける必要のある場面でも活躍します。座金を必要としないため、座金組み込みの手間や組み込み忘れも防止できます。
ナンバープレートの取り付けや事務機器・PCなどで使用されています。

各種小ねじ

ナイロンねじ

ナイロンねじ

頭部をナイロン樹脂で覆った化粧ねじです。周囲にローレット加工が施されており、手で簡単に着脱できます。外観は美しく軽量で、金属製の化粧ねじ(ローレットねじ)と比較して非常にリーズナブルです。機械的強度、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、電気的特性に優れた樹脂として長期間使用に対する耐老化性にも優れています。意匠性が高いため、照明器具、電気機器、事務用機器、ディスプレイ用器具等に利用されています。
目的に合わせて頭部径、色(黒/白)を選択できます。

ノブボルト

ねじ頭部のノブに高機能素材を用いたノブボルト・つまみネジです。手で締め付けたりゆるめたりできるため工具が不要で、普段工具を持ち歩かない現場での使用に適しています。また手で回すため過大なトルクで締め付けてしまう心配もありません。
食品・産業機械・医療用機器・事務用機器・家具・電動工具・福祉機器など多くの分野で締結や位置調整に利用されています。用途に応じて様々なサイズ・形状のものがあります。同形のめねじ(ナットタイプ)もあります。

ノブボルト

タップタイト

タップタイト

頭部がなべ頭小ねじより小さい為マイクロねじとも呼ばれ、デジカメ・メガネ・スマホなどの精密機器で使用されているタップタイトです。下穴にねじ込むだけでセルフタッピングし締結するタップタイトは締結時に切削しないため切粉は僅かです。三角形断面のねじ胴部はねじ込み時の内部応力を減少させねじ込み抵抗は少なく、ねじ込み後は相手材のスプリングバックにより三角断面の軸形状が回転抵抗となりゆるみ・脱落を効果的に防止し振動・衝撃に強くなります。
樹脂材、金属材など相手材の特徴に合わせた製品、様々なサイズ、頭部形状の中から用途に合わせて選択が可能です。

ラミクス®・ラミメイト®

頭部高さを66~75%低くし、重さを最大49%軽量化した十字穴付き薄頭ねじです。
精密0番十字穴付き頭部を持つラミクス®、JIS十字穴対応頭部のラミメイト®は、皿もみ加工やプレス加工不要による製造時間とコストの削減に貢献します。様々な相手材に利用可能なため、ねじの共通化を図ることができ経済的です。また頭部外形が大きいため、最大締め付けトルクが向上し作業性アップ、ゆるみ止め効果も発揮します。極薄頭部なので締結後の出っ張りや引っ掛かりも気になりません。パソコンや携帯電話、その他小型電子機器や精密機械の小型・軽量化にも寄与します。
めねじ(ナット)を必要とする小ねじタイプと、めねじを形成しながら締結するタップタイトがあります。
ラミクス®・ラミメイト®は日東精工の登録商標です。

ラミクス・ラミメイト

小ねじ(ガス穴付き)

小ねじ(ガス穴付き)

ガス抜き穴付きねじ、エアー抜き穴付きねじ、真空用穴付きねじなどとも呼ばれる、軸縦方向に貫通穴が開いているなべ小ねじです。光学レンズやガラスへの薄膜形成、シリコンウェハーへの薄膜形成・加工、太陽電池の形成、FPDの製造などで現代に欠かすことのできない真空機器・装置に使用します。
真空引きの際、ねじ穴の底に締結時に閉じ込められた空気・ガスを貫通穴が排出し、素早く目標圧まで圧力を下げ、真空度を保つのに貢献します。また、素材のステンレスは真空中での放出ガスが少なく加工性に優れ、薬品に強く、耐腐食性も高いので真空用材料として広く使用されています。頭部形状は、なべ頭・皿頭があり、なべ頭は汎用性が高く、皿頭は締結後はフラットで安全、また美しく仕上がります。
工業的に「真空」とは、「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態」のことを指します。空間中に分子が一つも無い「絶対真空」のことではありません。

樹脂ねじ

樹脂ねじは、金属に比べ耐薬性が高い素材として幅広い分野で使用されるようになりました。金属ねじに比べて軽量化できること、耐食性・絶縁性・断熱性・非磁性が高いことも特徴で、自動車や機械製造分野を始め、医療機器・半導体などにも多く使われています。また耐薬性に優れていることから、温泉地など特殊な環境下や化学産業でも使用されています。
製品の素材は様々でそれぞれの特徴があり、目的や用途、使用環境に応じて選択可能です。

樹脂ねじ