在庫管理に必要な会計の基本-資産編
こんにちは、ボサード大阪の平本です。
今日から数回に分けて、全てのビジネスパーソンがおさえておきたい会計のことについてお話していきたいと思います。
会計知識はなぜ必要?
会計とはお金の出入りを見える化したものです。
「会計なんて経理の仕事でしょ」。 はい、一般的な感想だと思います。
経理業務に従事されている以外の方は、
「私には関係ないわ、そもそも会計用語は難しい」と思われるのではないでしょうか?
私もそう思っていました…。
ただ、実際はそう考えてしまうと可能性が閉じてしまいます。
なぜなら会計のことが分かると、“会社の全体像”がよく理解できるからです。
一流のビジネスパーソンは例外なく自社のことをよく知っています。そして自社のことをよく知るためには、会社の数字(現状)を理解するための会計の知識が必要になります。
現状を理解することで、鳥の目で見る俯瞰的な視点を持つことができ、
ビジネス上の判断や行動を適切に選択することができるでしょう。
木を見て森を見ず*という状態を防ぐことで、ダイナミックな仕事をすることにつながります。
人も同じです。まず自分の今をきちんと理解することが、将来の自分を作っていきます。
例えば、少し体重がオーバー気味だな、だから薄味のものを食べて、ジムに行こうかなとか。
最近疲れがとれないな、だからマッサージに行って凝りをほぐしてもらおうとか。
自社のことを知らなければ平均的なビジネスパーソンにはなれても、それ以上を目指すのは難しいかもしれません。現在地をきちんと認識することが、正しい次のアクションへとつなげる一丁目
一番地なのだと思います。
自社を知るための3つの成績表
本題を始める前に、少しだけ企業活動における財務諸表という存在に触れておきます。
財務諸表は企業の状態や業績、
そして変化を知ることができる成績表のようなものとイメージしてください。
財務諸表の中でも重要なのが、次の3つで、これらを「財務三表」と言います。
貸借対照表(B/S:Balance Sheet)
損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)
キャッシュ・フロー計算書(C/S:Cash Flow Statement)
そのうちの一つの貸借対照表は、
ある時点(決算期末時点)での企業の内容を明らかにしたものです。
企業は活動を日々続けていますが、その一瞬の姿をとらえた静止画のようなものとなります。
その貸借対照表を理解するには、資産・負債・純資産を理解しておく必要があります。
今回はまず、貸借対照表の“資産”という項目に注目してお話したいと思います。
資産とは ー2つのポイントー
資産とは、「会社が集めたお金を、どう使ったか?」がわかるものです。
つまりお金の使い道であり、企業の財産のことです。
当然ですが、在庫も資産です。だからこそ在庫管理にも会計の知識が必要になってくるのです。
詳しく見ていきましょう。
資産を語るうえで重要なことを2つ挙げますが、その1つは時間です。
資産の種類
資産は大きく流動資産と固定資産に分けられます。
流動資産は1年以内に現金化できるもので、「当座資産」、「たな卸資産」、「その他流動資産」の3つに分類されます。固定資産は1年以内に現金化しないもので、有形固定資産、無形固定資産、投資その他資産の3つに分類されます。
難しい言葉が出てきましたね。これだけで嫌になりませんか?
でも、もう少しだけ踏み込んでみてみましょう。
流動資産の、当座資産は現金・預金、たな卸資産は在庫、その他流動資産は仮払い金などが代表になります。固定資産の、有形固定資産は土地・建物、無形固定資産はソフトウェア・商標権、投資その他資産は投資有価証券などが代表になります。
なぜ流動資産と固定資産に分ける必要があるのでしょうか。
資産には「時間」という概念が大きく関係しているからなんです。
流動資産は「現金と、すぐに現金に変えられるものをどれだけ持っているか」がわかります。
企業の支払い能力の基準です。
近日中に返済期限があるにもかかわらず、少ない金額しか流動資産を持っていなければ、支払い不能に陥る可能性があり安定性を欠いた状態となります。簡単に言うと薄氷の上を歩いているようなものです。
流動資産は会社を倒産させないうえで大変重要な指標となります。
固定資産のほとんどは、長期にわたって費用になるものです。
例えば、お菓子工場のお菓子を作る製造機械もそうです。
お菓子の原料である砂糖や小麦粉は流動資産ですが、お菓子を作る機械はすぐに消費されません。事業で使用するにつれて価値が減少し、いずれ使えなくなっていく。
そのため、規定に従って徐々に費用化する(減価償却)方法がとられます。
シンプルに言うと、流動資産と固定資産は、
現金に変えるのに時間がかからないか、時間がかかるか、この違いです。
資産を理解するには“時間”をきちんと理解しないといけません。
もう一つ資産を語るうえで重要なことは「バランス」です。
資産は多くある方がよいように思われがちですが、ただ多ければいいというものではありません。商品を作りすぎて在庫が溜まり、売れなくなってしまうなんてことになれば本末転倒です。
食品であれば賞味期限切れの多発を引き起こし、大きなロスにつながりかねません。
かといって、現金の状態で保有していても商売ができず、 ビジネスが成り立ちません。
多ければ多いのが正義ではなく、バランスが大切です。
これって資産?
最後に少し補足として、資産の範囲の広さをご紹介します。
材料を買い、その材料を使って商品を作ればこの材料は資産です。生み出した商品も資産です。
商品を作るために機械などの生産設備を買えば、それも資産です。新商品を作るために新たな工具を購入し、工場を建設すればそれも資産になります。商品を売るための店舗やECサイトをオープンすれば、それも資産です。そう考えると資産だらけです。
業界によって資産の種類も変わります。
鉄道会社の場合は鉄道、水族館の場合は魚、遊園地の場合はアトラクション、私たちファスナー専門商社の場合は、ファスナーが資産です。要は、それらがないとビジネスが成り立たないし、お客様に価値を提供できないものと言えるかもしれません。
簡単ですが今日は資産についてのお話をさせて頂きました。
資産なくして価値はなし!ということでしょうか。在庫管理を行うには、きちんと資産のことも理解している必要がありますね。
次回も乞うご期待ください。それでは皆さん、ごきげんよう!
在庫管理の費用に関しては、「在庫管理にかかるコストや考え方」ブログもご覧ください。