自動車や工作機械・電子部品から建築など、あらゆるところに使用されているねじ。
国際規格であるISO規格をはじめ、JIS、DIN、ANSIなど各国の標準規格に基づき、様々な材質・形状・寸法のねじが存在します。
これら規格に基づいて作られたものは規格ねじ(スタンダード品)と呼ばれ、サイズ・寸法・呼び径・ねじ山の角度はどのメーカーでも統一されています。

小ねじ・マイクロねじ

小ねじ・マイクロねじ

小さな部品を締結するために使用するねじの総称で最も一般的なねじです。ナットまたは相手材に刻んだめねじにねじ込み締結します。
材質・ねじ山規格・頭部形状・ドライブも選択肢が豊富で、母材の材質・厚み・ザグリ加工のあるなし・用途に応じて様々な中から選択できます。超低頭やワッシャー付き・特殊用途・2つ以上の工具で締結可能など、様々な問題を解決するねじも開発されています。

ボルト

一般にナットと組んで用いるおねじ部品をボルトと呼びます。頭部が六角柱形状の六角ボルトが一般的ですが、蝶型・アイ型・U型・寸切など様々な形状、アジャスト機能を持つものも含まれます。ワッシャーが組み込まれたもの、フランジ付きのものなど2つ以上の機能がある便利な製品もあります。
素材や表面処理が豊富で、様々な機械をはじめ、土木・建築分野など強度が求められる場面でも使用されています。高強度ステンレス製品は、同強度製品のサイズダウン・軽量化を図ることができ、耐熱性・耐食性など長寿命を生かした運用コストの削減にも貢献します。

ボルト

六角穴付・その他穴付品

六角穴付・その他穴付品

頭部に六角穴やその他の形状の穴が付いたボルトやねじは“穴付き”と呼ばれます。
ボルトの外側ではなく内部のリセスで締める“穴付き”製品は、安全性の向上にとどまらず、様々な頭部形状に応用できる利点を生かして、省スペース小型軽量化作業効率アップなどの点でも産業界に大きな変革をもたらしました。
現在では、頭部の出っ張りをなくした画期的な低頭・極低頭型、より高いトルクで締結できる六星型穴付き品も開発され、世界各地で航空機・自動車業界・刃物業界・電気製品・各種産業機械・福祉機器などに採用されています。

ワッシャー

一般的には座金とも言われ、ボルトを締結する際に相手材とナットの間に挟むことにより、抜け防止や座面の傾き・凹凸の補正、座面陥没やナットの回転を防止する役割を果たします。さらにねじを締め付ける際の力をワッシャーの面圧に分散させることによって、締め付けた部品の傷防止につながります。ワッシャーには非常に多くの種類が存在します。規格品でも旧JIS規格とISO規格(新JIS)などがあり、寸法が若干違います。
ISO規格(新JIS)は新しい規格でこれからの流通性を考慮すれば、ISO規格(新JIS)に統一して使用する方がよい選択かもしれません。

ワッシャー

ナット

ナット

様々な外形に筒状の穴があり内側にねじが切ってあるもので、めねじとも呼ばれます。ボルトなどのおねじとセットで用いられます。一般には外形が六角柱をした六角ナットのことをナットと呼びますが、フランジやゆるみ止め・爪付のものや、手締め用、連結リング付き、溶接や埋め込みナット、頭部を覆った袋ナットなど様々な機能を持つものがあります。
めねじの谷の径を呼び径としており、メートルねじが一般的ですが、ユニファイ等のインチネジも配管・光学・時計機械等では用いられています。安全性を担保するために、ボルトとナットのサイズや規格が合致することは大切です。


タッピングねじ

ねじ自体が相手材にめねじを塑性成形することで、めねじ加工が施されていない下穴に直接締め付けができるねじです。
下穴は必要ですが、ナットやめねじ立てが不要で、またゆるんだ際にもスプリングバックによる抵抗が脱落を防ぎます。締結時に大きな抵抗がかかるため、主に電動・エアー工具使用で締結されます。
万能ビスやコーススレッドなどの木材専用の木ねじに比べ、木材・薄鋼板・アルミ合金板・樹脂板など薄い部材に幅広く使用できる利点があります。

タッピングねじ

座金組み込みねじ

座金組み込みねじ

座金があらかじめ組み込まれ一体となったねじでセムスとも呼ばれます。専用の組込み機でワッシャーを組み込んだ後ねじを転造するため、座金がネジから外れなくなります。
一つの部品として取り扱えるので座金組み込みの手間と時間が省け、組み忘れ、座金を落としてしまう煩わしさもなくなり、作業効率が向上します。
組み合わせも、平座金(旧JIS)だけ組込まれたもの(P=1)、ばね座金のみ(P=2)、平座金とばね座金(P=3、P=4) から目的により選択可能です。キャップセムス・トリーマ―セムス・アプセットセムス・ナベセムスなど、頭部形状もバリエーション豊かです。

手締めねじ

手締めねじとは、いわゆる工具なしで、手で締め付ける事ができるねじです。つまみねじとも呼ばれます。
手だけで回すため締めすぎる心配がありません。また、普段工具が手元にない場所や、多くの人が付け外しする個所、頻繁に回す調整ねじに最適です。PC・制御盤・工作機械等のカバーの取り付け、軸部の回り止めをはじめ、にぎり玉、家具などのデザイン的な要素が求められる箇所、福祉機器やなどに使用されています。
用途や使用箇所に応じて、おねじ・めねじ、つまみ部分の形状や大きさ、素材から選択可能です。

手締めねじ

ピン・止め輪

ピン・止め輪

ピン ・ キー ・ 止め輪は、主に位置決め・抜け止め・固定のために用いられ、産業機械をはじめ、あらゆる業界の多種多様な製品に用いられています。軸と歯車・ブーリー・ボスを固定するためのピンやキー、部品同士の締結を固定する割ピン、軸方向への抜けや移動を防ぐ止め輪などがあり、形状やスペックも多岐にわたります。

建築金物

土木・鉄骨構造物・木材締結・電気・給排水・建具・家具など、建築・木工の多岐にわたる必要をカバーするための数多くの製品が開発されてきました。それぞれの目的、相手材に合わせて最適な製品を選ぶことにより、安全性を確保し、作業効率を上げ、コストの低減やメンテナンス性の向上に貢献します。
最近では、“人にやさしい” “地球にやさしい” 素材・形状・表面処理も多数開発され、持続可能な世界に貢献することが可能です。また、より高い安全性を担保するための高強度製品も開発されています。

建築金物

海外規格

海外規格

日本で広く使われているメートルねじ(JIS規格)のほかに、インチねじ(ユニファイ・ウィット)、DIN(ドイツ工業規格)など世界中に多くの規格があり、様々な業界、製品に使用されています。
それぞれ別々に発展してきたそれらの規格は、互換性がないため、ねじ込むことができるように思えても、確実な締結や安全性を保証することはできません。それで、交換の際には同じ規格のものを使用することが大切です。

ツール

締結部品の進歩や多様化と共に、施工のためのツールも日々進化を続けています。新しい製品に合わせたもの、作業効率を高めるもの、安全性を向上させるもの、作業者の負荷を減らすもの、自動化に対応するもの、確実な締結や美しい仕上がりに貢献するものなど、部品や工法、素材の進化に合わせて新しいツールが開発されています。
適切なツールの使用は、締結の安全性を高め、歩留まりを減らし、人と地球にやさしい現場の実現に貢献します。

ツール