ねじの話 「タッピンねじ」3 タッピンねじの形状とその用途(附属書品)

ねじの話 「タッピンねじ」
1  タッピンねじとは
2  タッピンねじは なぜセルフタッピングができるの?
3 タッピンねじの形状とその用途(付属書品)

日本国内で流通している「タッピンねじ」は圧倒的に附属書品です。今回は附属書品のタッピンねじの形状や用途、そしてよく似ているねじのいくつかを取り上げてみます。



タッピンねじ 形状と用途(附属書品)

1種タッピン(Aタッピン)

〔形状〕1種タッピンねじは、先端部まで尖っており、また、先端までねじ山が立っています。1種はタッピンねじのうちピッチが最も粗くなっています。先端の尖った部分は、穴の中心位置決めるためのガイドとしても機能します。塑性成形タイプです。
〔相手材〕主に薄鋼板、ハードボード、木材、石綿などに適しており、薄鋼板は板厚が1.2㎜以下のものが適しています。


2種タッピン(B-0タッピン)

〔形状〕2種の塑性形成タイプです。ねじ山の先端 2山から2.5山分がテーパー(先細り)になっていて、下穴に挿入しやすくなっています。ピッチは1種より細かいですが、3種(Mねじ並目)よりは粗いです。
〔相手材〕主に薄鋼板及び厚板(5㎜以下)、非金属、樹脂、硬質ゴムに適しています。


2種タッピンカット溝付(B-1タッピン)

〔形状〕切削タイプです。2種タッピンの先端の1/4周がカットされており、そのカット部分が刃の役割を果たし、相手材を削ってねじ立てをします。
〔相手材〕主に薄鋼板及び厚板(5㎜以下)樹脂、硬質ゴムに適しています。


3種タッピン(C-0タッピン)

〔形状〕3種の塑性形成タイプです。先端2.5~3山分がテーパーになって下穴へ挿入しやすくなっています。ピッチはMねじ並目と同じで、タッピンねじの3種の中で最も細かいピッチです。
〔相手材〕主に構造用鋼、鋳物、非鉄鋳物に適しており、2種タッピンよりも厚板に対応できます。


3種タッピンカット溝付(C-1タッピン)

〔形状〕切削タイプです。3種タッピンの先端の1/4周がカットされており、そのカット部分が刃の役割を果たし、相手材を削ってねじ立てをします。
〔相手材〕主に構造用鋼、鋳物、非鉄鋳物に適しています。


4種タッピン(ABタッピン)

〔形状〕先端は1種タッピンのように尖っており、ピッチは2種タッピンと同じで、タッピンねじとしては中間のピッチです。市場にあまり出回っていなません。塑性成形タイプです。
〔相手材〕主に薄鋼板及び厚板(5㎜以下)、非金属、樹脂、硬質ゴムに適しています。


タッピンねじの進化

タッピンねじは下穴だけで自らねじ立てをして締結できるため、大量生産の製品製造では欠かせない存在となっています。複数の軸の先端形状と3種類のねじ山ピッチ、また多様なねじ頭部を備えているため、プラスチック、薄板鋼板、鋳物など多くの異なる素材の部材に対応できます。さらに、独自の形状に発展することで、その用途が広がっています。


BPRタッピン

 ねじ部は2種のタッピンと同じで、先端部分にパイロット機能を備えています。これにより、下穴が見にくい場所での使用性が向上し、サッシ枠の組み立て等に用いられています。更に、頭部首下にねじ山の無い胴部を持つタイプも存在します。


タップタイト

タップタイトのおにぎり型の先端

タッピンねじはワークを塑性変形・切削して自らタップするために、小ねじとナットでの締結と比較すると、ねじ込み抵抗が大きくなります。このねじ込み抵抗を低減するために、「タップタイト」は軸形状を工夫しています。軸断面が真円ではなく、おにぎりのような角の丸い三角形状をしています。

タップタイトは、三角形の断面形状を使用して相手材を押し広げ(弾性変形)、ねじ面との接触面積を減少させ、ねじ込み時の摩擦抵抗を低減して、作業性を向上させつつ軸力を高めます。また、締結後に振動等により軸力が弱まっても、弾性変形したワークが軸に沿って元に戻り回転を防ぐことで、高い緩み止め効果を発揮します。さらに、相手材に塑性変形でねじ立てする「セルフフォーミングねじ」であるため、ねじ込み時に切粉が発生しません。

タップタイトには以下の3種類のねじがあります。


Bタイプ(薄板鋼板 プラスチック用)

2種タッピンねじの改良型で、ねじピッチは2種タッピンと同じですが、やや粗いです。これは薄鋼板(0.6~3.2mm)やプラスチックなどに使用することができ、2つ以上のピッチが噛み合う必要があります。


Pタイプ(可塑性樹脂専用)

ねじピッチは粗く、2条ねじなのでねじ込みがスピーディーで作業効率が向上します。また、ねじ山角度は45°と小ねじの60°より鋭角なため、相手樹脂への負担が軽減され、首下の不完全ねじ部分も相まって、ワレやカケ・焼付を防ぎ、繰り返し使用してもねじバカ(空転)を防ぎます。

※二条ねじ
ねじを一周させると2ピッチ分軸方向に進むねじのことです。通常のねじ(一条ねじ ねじを一回転させたときに前進する距離【リード】とピッチが等しいねじ)はねじ山の螺旋が1本に対し、二条ねじは2本の螺旋でできています。二条ねじは一条ねじ比べると緩みやすくなっています。リードが3倍になる3条ねじ(螺旋が3つある)もあります。2条ねじ以上を多条ねじという言い方をします。


Sタイプ(金属用)

軸がわずかに太くなっておりピッチは小ねじ(Mねじ)と同じであることから、抜き取った後のねじ穴に小ねじをねじ込むことができます。

“タップタイト”も、ねじ込み抵抗を減らすためのねじ山形状などの工夫により、さらに高機能なものが開発されています。


ドリルねじ

タッピンねじに下穴を開けるドリル機能を追加し、ねじの機能を一体化させたのが「ドリルねじ」です。このコンセプトは米国のITW(イリノイ・ツール・ワークス)社によって考案され、1966年頃から日本にも導入されました。これにより、作業能率が飛躍的に向上し、ねじ締結のトータルコストが削減されました。特に、建設・建築関連分野で広く普及しています。

ねじの先端部にドリル刃を形成し、通常、タッピンねじは下穴が必要ですが、取付部材や下地材の穴あけ、タップ立て(めねじ加工)、締結をねじ一本で行えるため、下穴が不要となり、工具や工程を省略でき、作業性が大幅に向上します。

ねじの呼び径と呼び長さを選定する際には、締結する板厚を適用板厚以下に調整し、最大働き長さを考慮します。ドリルの刃先の長さは、適応板厚の目安となり、先端のテーパー部を含みません。一般に、最大働き長さは下地材より完全に突き出たねじ山3ピッチ分の長さを除いた、実際の締結可能な長さとします。

※ドリルねじについて詳しくはこちらをご覧ください。


ドリリングタッピンねじ(軽天ビス)


ドリリングタッピンねじは、石膏ボードを鋼製の下地に取り付けるために、ASTM(American Society for Testing and Materials)によって1970年に初めて規定されました。
ラッパに似た頭部の広い着座面形状を持つため一般的にラッパビスと呼ばれ、用途からボードビス、軽鉄用ビス、ドライウォールスクリュー、ワンタッチビスなどの別名でも呼ばれます。

石膏ボードを建築内装工事に使用される軽天材(壁や天井などの下地に使用される厚みが0.5㎜~1.0㎜程度の薄い軽鋼板【天井ランナー・間仕切りスタッド】)の下地に、ボードドライバーや電動スクリュードライバーで下穴なしで取り付けることが出来る内装工事用のファスナーです。


タッピンねじとよく似ているねじ

木ねじ(もくねじ)

木ねじの特徴は、とがった先端とねじの無い円筒部分です。ねじ部は先端側の全長の約2/3を占めています。締結時に、頭側のねじのない部分では取り付け材料とねじが自由に回転し、ねじの効いている土台材は引き寄せられて密着し、強固に固定されます。
一般に部材の割れや斜めに入ることを防ぐために、ドリルや錐(きり)を使って木ねじより少し径の小さい(呼び径:図面D₁の70%程)の下穴を開けてから木ねじを使用します。作業性も向上し、仕上がりも美しくなります。

木材同士の組み立てをする際、木ねじは釘に比べてしっかりと木材を固定する事が出来ます。木ねじは簡単に緩まず、また部材に傷をつけることなく、ドライバーなどで簡単に外すことができます。


コーススレッド

「コーススレッド Coarse(粗い) thread(ねじ山)」の名の通り、ピッチの広い高く鋭いねじ山を持っています。主に木材同士の接合に利用し、インパクトドライバー等の動力工具で、ピッチの粗さを生かしてセルフタッピングして素早く強力に締結します。軟質木材へは下穴無しで使用でき、硬質木材や材料の端や合板の小口へは、下穴を開けて材料の割れ・欠けを防ぎます。釘と異なり、逆回転させることで部材を傷つけずにきれいに引き抜くことが出来るのも利点です。

ねじの長さに応じて、ねじ径は決まっており、胴全体にねじ山がある全ねじタイプと頭の近くにはねじ山の無い半ねじタイプがあります。組立には部材同士の隙間が生じない半ねじが使われ、補強には時間経過で木材が収縮してもガタツキが生じない全ねじが選ばれます。


セルフタッピングねじの使用方法について詳しく知りたい場合は、下のフォームから気軽にお問い合わせください。

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